2.工事契約に係る認識の単位
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(1)基準のポイント
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基準では、「当事者間で合意された実質的な取引の単位で作成されることが一般的である(基準7項)」として、契約書を認識の単位として想定しています。しかしながら、一つ一つの契約が一定の機能を有する成果物の提供にならないほど契約を多数に分割してしまうケースや、まったく関連性のない複数のシステム開発を一つの契約で締結するケースなど、契約書は当事者間で合意すればいかようにも締結可能であるという側面も否定できません。
この結果、契約書が当事者間で合意した取引の単位を適切に反映していないと考えられる場合には、複数の契約書を統合するケースや、一つの契約書を分割して複数の取引単位に分けて、実質的な取引の単位をもって認識の単位とすべきことが求められています。
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(2)受注制作ソフトウエアにおける「実質的な取引の単位」
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①契約単位を適用単位としようとする場合の留意点
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実務上は実務対応報告第17号に記載のある、分割検収が認められる場合の要件が参考になると考えられます。実務対応報告第17号は、分割検収が認められるための要件として「一定の機能を有する成果物の提供が完了し、その見返りとしての対価が成立する」ことを求めています。また、入金条件に合わせた決済のためだけの検収などは分割の要件を満たしているとはいえないと注意喚起をしています。
従って、契約を細かく分割しただけの、顧客にとって一定の機能を有する成果物の提供が完了していない契約分割では分割の要件を満たしていないため、適切な収益認識単位といえません。あるいは、たとえ契約が適切に分かれていたとしても、すべての契約が終了した後に代金が一括して支払われるような特約が付されていたり、後工程の契約で何かトラブルが発生した場合に、前工程の契約にさかのぼって取引の無効が可能というような特例が付されているケースなどは、それぞれの契約が独立しているとはいえないため、契約を統合して、一つの適用単位とすることが適切な場合も考えられます。
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②一つの契約に複数システムが含まれている場合の留意点
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複数のシステムを一つの契約で締結する場合、「相互に共通する作業が発生する」、「片方のシステムの完成だけでは顧客にとって一定の機能を有する成果物の完了とはならない」など、複数のシステムを一体として収益認識の単位とすべき合理的な理由が無い限り、契約単位にかかわらず収益認識の単位を分割すべきケースに該当するものと考えられます。特に、相互に関連が無いにもかかわらず、赤字のシステム開発と黒字のシステム開発を意図的に同一契約で締結するようなことがあれば、これを一つの認識の単位とすることによって、赤字のシステム開発の損失を繰り延べることが可能となるため注意が必要です。
なお、実務上は、契約単位と収益認識の単位が異なると管理が複雑になるので、両者はできるだけ一致させておくことが望ましいと考えられます。
3.成果の確実性の事後的な獲得および喪失
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(1)基準のポイント
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工事契約は何らかの状況の変化に伴って、「成果の確実性」が満たされるようになる場合(事後的な獲得)や、逆に「成果の確実性」を満たさなくなる場合(事後的な喪失)が想定されます。基準は、単に工事が進捗し、工事の完成が近づいたことをもって成果の確実性が増しただけでは工事完成基準から工事進行基準へ変更することは適切ではないとしています(適用指針13項)。従って、「仕様が確定する」、「対価が決定する」、「原価の見積もりが確定し、実際発生原価が集計できる」など、工事進行基準適用上の障害がとり除かれた時点から工事進行基準を適用すべきです。この場合、それまでに工事進行基準を適用していたならば計上されたであろう工事収益および工事原価が一括して計上されることになります。
一方、「何らかのバグの発生によって工事総原価を見積もることができなくなった」あるいは、「仕様について顧客との食い違いが生じ、対価の額および工事総原価を見直さなければならなくなった」など、成果の確実性が認められない状況に陥った場合には、当該事項が判明した時点以降、工事収益および工事原価の認識は工事完成基準を適用することになります。この場合、それまでに計上した工事収益および工事原価については修正を要しません。これは、工事収益および工事原価を計上した時点では成果の確実性が認められていたのであれば、事後的な事情の変化は会計事実の変化と考えることができるため、過去を修正する必要はないとの判断によるものです。
なお、「成果の確実性」に関する判断は、決算日を基準とすると考えられます。これは、決算日までの成果として確実になった部分の割合、すなわち決算日における工事進捗度から工事進行基準に基づいて収益の金額が算定され、会計処理が行われるためです。従って、「成果の確実性」の事後的な変化については決算日ごとに見直しが求められます。
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(2)受注制作ソフトウエアにおける成果の確実性の事後的な獲得および喪失
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成果の確実性の事後的な獲得および喪失については、いずれのケースであっても、当該変更によって収益の計上の方法が変わってくるため、状況の変化に対する判断は慎重に行われるべきです。しかし、そもそも状況が容易に変化するような取引環境にある場合には、工事進行基準の適用要件を満たす程の「成果の確実性」があると判断できるか疑問が残るところです。特に、基準は受注制作ソフトウエアについては、他の工事契約と比較して、「完成を妨げる環境要因が存在しないこと」および「原価の発生やその見積もりに対するより高度な管理」を求めていますが、これは、受注制作ソフトウエアが抱える取引慣行(仕様確定の遅延や頻繁な仕様変更)や原価見積もりの難しさという業種の特性をよく考慮した上で、「成果の確実性」についての慎重な判断を求めるものであるといえます。
従って、基準では個別の適用単位ごとに成果の確実性を判断することになっていますが、「仕様変更等で対価が定まらない」、「原価の見積もりが困難である」など、状況が変化しやすい環境下にあるのであれば、会社の取引環境がすでに成果の確実性の要件を満たしていないと判断し、工事完成基準を適用しなければならないという判断もあり得ると考えられます。
- 化粧品・トイレタリー業界
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