1.はじめに
医薬品業界にかかわる企業には、大きく分類して医薬品の製造販売を行う企業群が属する医薬品製造業を営む企業、医薬品の流通にかかわる医薬品卸売業を営む企業、さらに医薬品の研究にかかわるバイオベンチャー企業などが考えられます。
医薬品業シリーズにおいては医薬品とは何か、医薬品業とは何かという視点から、医薬品にかかわる各企業の特徴を3回に分けて連載します。
| 第1回 | 医薬品業の概要 |
| 第2回 | 医薬品製造業の会計処理の特徴 |
| 第3回 | 医薬品卸売業の会計処理の特徴 |
第1回については次の解説をします。
医薬品業について
医薬品業界の特色について
医薬品業界を取り巻く環境について
2.医薬品業
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(1)医薬品とは
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「医薬品」とは薬事法第2条第1項により、次のように定義されています。薬事法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・および医療器具に関する事項を規制し、その適正を図ることを目的とする法律です。
(薬事法より抜粋)
1.日本薬局方に収められている物
2.人又は動物の疾病の診断、治療、又は予防に使用されることが目的とされているものであって、器具器械、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)
*日本薬局方とは、薬事法第41条により医薬品の性状および品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の品質基準書です。
上記の定義に該当するものは医薬品、該当しないものは医薬部外品、化粧品という取り扱いになります。さらに医薬品については医療用医薬品と一般用医薬品に区分され、医療用医薬品は先発医薬品と後発医薬品とに分けられます。
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医薬部外品
医薬品ではないが医薬品に準ずるもの。化粧使用目的のほかに、にきび・肌荒れ・かぶれ・しもやけなどの防止、または皮膚あるいは口腔の殺菌消毒に使用されることもあわせて目的とされるものであり、厚生労働大臣の指定するもの。
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化粧品
厚生労働大臣の承認は必要とせず、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの。
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医療用医薬品
医師、歯科医師により使用されまたはこれらの者の処方せんもしくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品。原則として医師、歯科医師の処方により使用されることとなります。
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一般用医薬品
医療用医薬品として取り扱われる医薬品以外の医薬品。すなわち、医師による処方を必要とせず薬局や薬店などで市販され、一般の人が自らの判断で直接購入することができるもの。従来、「大衆薬」とも呼ばれ、近年ではグローバルに用いられている「OTC(Over The Counter)医薬品」と読み替えられています。
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(2)先発医薬品と後発医薬品
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①先発医薬品
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先発医薬品とは特許期間が満了する前の新薬のことをいいます。新薬とは新しく開発された薬のことであり、新薬の開発には巨額の資金と膨大な歳月を必要とするため、開発企業(先発企業)は新薬の構造やその製造方法などについて特許権を取得し、自社が新規に開発した医薬品を製造販売することによって、資本の回収を図ることとなります。
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②後発医薬品
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後発医薬品とは、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含む同一経路の製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果が得られる医薬品をいいます。後発医薬品は先発医薬品の特許期間満了後に販売されることとなり、先発医薬品と比べて開発費の負担が軽いことから、一般的に先発医薬品より低価格で販売されます。
後発医薬品は「ジェネリック医薬品」とも呼ばれ、これは欧米諸国において多くのジェネリック医薬品が「含有されている有効成分の一般名称(Generic name)」を冠して販売されていることに由来しています。
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(3)医薬品における業
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①医薬品製造販売業
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医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器は、薬事法により厚生労働大臣の製造販売業または製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ業としてその製造販売をしてはならないこととされています(薬事法第12条、第13条)。この際、製造所で製品を製造する「製造業」と、製造された製品を市場へ出荷する「製造販売業」とに分離され、市場への出荷責任を明確にした許可体系となっています。
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製造販売業とは
製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。)をし、または輸入をした医薬品、医薬部外品、化粧品または医療機器を販売、賃貸、または授与する業態をいいます(薬事法第2条第12項)。
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製造業とは
医薬品等の製造行為のみ(製造および製造販売業者への納品のみ許され、直接卸売業者等の販売業者に販売等を行うことはできない)を行う業態をいいます。
また、当該許可の要件として品質管理の基準および製造販売後安全管理の基準などが厚生労働省令により整備されています。
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GQP(Good Quality Practice)
医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の品質管理の基準に関する省令。
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GVP(Good Vigilance Practice)
医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令。
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GMP(Good Manufacturing Practice)
医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準に関する省令。
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②医薬品卸売業
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医薬品卸売業は、薬事法に基づき「卸売一般販売業」の許可が必要とされます。「卸売一般販売業」とは、各都道府県知事の許可を受けて店舗を構え、管理薬剤師の管理下で、薬局および医薬品販売業者または医療機関に対してのみ医薬品を販売する業のことをいいます(薬事法第25条第1号、第26条)。
医薬品卸売業を営む企業は、医薬品を安全かつ安定供給するために保管、配送、販売などについて薬事法をはじめとする各種の厳しい規制により管理されます。
さらには、卸売一般販売業の許可を受けた者は医薬品等の有効性および安全性に関する事項その他医薬品または医療機器の適正な使用のために必要な情報を収集し、および検討するとともに病院、医師、その他の医薬関係者などに対し、これを提供するよう努めなければならないとされています(薬事法第77条の3)。
- 業種に特有な会計及び税務処理シリーズ
第11回:商社・卸売業に特有の会計処理と税務 (2010.02.25) - 不動産業
第4回:保有目的の変更・不動産の時価 (2010.02.18) - 不動産業
第3回:不動産賃貸業の事業と会計の特徴 (2010.02.03) - 不動産業
第2回:不動産分譲業の事業と会計の特徴 (2010.02.01)




