業種別会計の基礎


不動産業
第3回:不動産賃貸業の事業と会計の特徴 (2010.02.03)

新日本有限責任監査法人 不動産業研究会
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1.不動産賃貸業とは

不動産賃貸業とは、所有不動産を賃貸して賃貸料等を得る事業をいいます。賃貸不動産の種類としては、オフィスビル、商業施設、マンション、アパート、倉庫など幅広いですが、本稿では主にオフィスビル、商業施設、賃貸マンションの賃貸業と会計上の論点について解説します。

2.不動産賃貸業の特徴

(1)立地条件が最大の要素であること

不動産賃貸業においては、駅に近いなど交通アクセスが良いこと、周りに店舗などがあること、近隣に公共機関があることなど、その利便性が収益性を決める最大の要素になってきます。不動産市況全般としては下落傾向にある中、都心の好立地物件では高水準の賃料を維持しているのに対し、郊外や不便な立地の物件については賃料が下落しており、地域ごと、物件ごとの二極化が進んでいるといえます。

(2)定型的な取引で安定収入が得られること

不動産賃貸業は、借手が付けば、月々一定の賃料収入が得られます。テナントが入居してしまえば、比較的定型的で特殊なノウハウも必要としないので、比較的安定的な事業と考えられます。

(3)取引に関する規制

不動産の賃貸借においては、賃貸物件の建築に当たっては、都市計画法、建築基準法、大都市法、消防法などの規制を受けます。また、物件の賃貸に当たっては、民法、借地借家法(定期借地権、定期借家権を含む)、消費者契約法などの規制を受けます。

(4)需給動向に左右されること

不動産賃貸業では住宅・オフィスなどについて貸手側の供給量と借手側の需要量のバランスによって、賃料相場が左右されます。住宅、オフィス、商業施設を通じて、ITなど最新の設備のある物件に需要が集まる一方で、設備が劣化した物件では空室率低下が長期にわたるなど、物件によって二極化も見られます。

3.不動産賃貸業の業務の流れ、テナントの獲得・契約、賃貸・管理、解約・精算

(1)不動産賃貸業の業務の流れ

物件の確保

賃貸する物件の取得または建築については通常の固定資産の取得と大きく変わるところはありません。

テナント獲得・契約

物件を確保したら、入居するテナントを決める必要があります、賃貸マンションの場合には、建物を建ててからテナントを募集する「公募方式」によることが一般的と考えられますが、オフィスビルや商業施設の場合には、建物を建てる前にテナントを決めておく「誘致方式」による場合もあります。

テナントが決まったら賃貸借契約を取り交わし、敷金・保証金などを収受して、テナントが入居し、賃貸が始まります。テナント獲得に当たっては仲介手数料や広告料などの費用が発生します。

賃貸・賃料の収受・管理

テナントが入居すれば、後は賃貸借の契約条件に従って、毎月賃貸料や共益費を収受します。事務所や住宅の賃貸借期間は一般的に2年程度と考えられますが、商業施設の賃貸で、テナントの仕様に合わせて建設した建物などについては、賃貸借期間は長くなる傾向にあります。

賃料の決定には、毎月一定額を収受する固定家賃と、最低保証額を設けるとともにテナントの売上高に応じて売上歩合の家賃を収受する売上歩合家賃があります。事務所や住居については固定家賃による場合が一般的であると考えられます。一方、商業施設においては、店舗内での売り場の導線などによってテナントの売上が左右されることから、売上歩合の契約が多いものと思われます。

賃料の回収方法は、住宅家賃は通常1カ月分を前受けするのが一般的です。店舗で特に売上歩合の場合には、テナントの売上を把握する必要もあることから、テナントの日々の売上高をいったんオーナーが預かり、後日家賃と共益費を控除して払い戻すという方法もあります。

契約終了・精算

賃貸借契約については、当初の契約期間が満了しても、更新料などの支払いにより、賃貸借契約を更新することもできますが、更新しなければ契約終了・退去となります。

テナントは一般的に契約により物件の原状回復義務を負うと考えられます。借手が施した内部造作をそのままにして退去する場合などには、敷金から原状回復費用が差し引かれて返還されます。

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