解説シリーズ 四半期報告制度


金融商品取引法における四半期報告制度の概要
第4回:四半期財務諸表の会計処理(3)(法人税等、税効果) (2007.10.24)

新日本監査法人 社員 公認会計士 金子裕子
法人税等および繰延税金資産・負債

原則として、年度決算と同様に算定。ただし、加減算項目や税額控除項目を重要なものに限定することを容認(適用指針15)
繰延税金資産の回収可能性の判断における前年度に使用した業績予測等の利用(適用指針16、17)
年間見積実効税率の利用(基準14)
重要性の乏しい連結会社における簡便的な会計処理(適用指針20)
未実現利益の消去に係る税効果は年間見積課税所得額を限度(適用指針22、97)
連結納税制度における年間見積実効税率の利用(適用指針23)

1. 年度と同様の方法による場合の簡便的な取り扱い

法人税等の計算は、原則として年度と同様の方法によることとされています。ただし、この場合であっても、加減算項目や税額控除項目を重要なものに限定することが認められています。

2. 繰延税金資産の回収可能性の判断における簡便的な取り扱い

前年度末から業績や経営環境に大幅な変更がなく、かつ、一時差異の発生状況に大幅な変更がない場合には、繰延税金資産の回収可能性の判断において、前年度末に使用した将来の業績予測やタックスプランニングを利用することができるとされています。
また、前年度末から大幅な変更がある場合においても、前年度末に使用した将来の業績予測やタックスプランニングに、当該大幅な変動による影響を加味したものを使用して判断することができます。

3. 年間見積実効税率を使用する場合
四半期会計期間を含む年度の税効果適用後の実効税率を合理的に見積もり、税引前四半期純利益に見積実効税率を乗じて計算することができます。各四半期会計期間の税金費用は、累計期間の税金費用から直前の四半期末までの累計期間の税金費用を控除して計算します。
【図表1】の例では、四半期において、年度の税引前利益4,000(A)および加減算項目800を見積もり、課税所得見込額4,800から税額控除を引いて、年間の見積税金費用1,800を算出します。さらに、見積税金費用1,800を(A)で除して、見積実効税率45%を算出し、四半期の法人税等の金額は、360(=税引前四半期利益800×45%)と計算されます。
【図表1】
年度の税引前当期利益見込額(A) 4,000
年間の交際費損金不算入見込額(B)←加減算見込 800
課税所得見込額(C)=(A)+(B) 4,800
(D)=(C)×40% 1,920
税額控除 120
税金費用(E) 1,800
見積実効税率(E)÷(A) 45%
(仕訳)(借)法人税、住民税および事業税 360 (貸)未払法人税等 360
この方法による場合には、前年度末の繰延税金資産・負債がそのまま計上されることから、繰延税金資産の回収可能性を判断することが必要です。なお、この場合の回収可能性の判断においても、2.の簡便的な方法によることが認められます。
4. 重要性の乏しい連結会社における簡便的な会計処理

連結財務諸表における重要性が乏しい連結会社であって、重要な企業結合や業績の著しい変化がなく、かつ、四半期財務諸表上の一時差異の発生状況に前年度末から大きな変動がない場合には、見積実効税率ではなく前年度の税効果適用後の法人税等の負担率を使用して算定する方法が認められています。
この方法による場合には、繰延税金資産の回収可能性の判断結果が継続していると考えられることから、前年度末の繰延税金資産・負債をそのまま同額で貸借対照表に計上することが認められます。(適用指針96)

5. 未実現利益の消去に係る税効果
連結会社間の取引により生じた未実現利益を四半期連結決算において消去する場合、現行の中間連結財務諸表では、連結決算において消去した未実現利益が、売却元の中間の課税所得を上回る場合には、中間の課税所得を限度とします。
しかし、四半期会計基準では、連結上で消去した未実現利益が、売却元の年度の見積課税所得を上回る場合に、将来減算一時差異の金額は年度の見積課税所得を限度とするとされています。これは、同一年度内で期首から累計期間に係る課税所得が四半期を経るごとに変動することに伴い、繰延税金資産に計上できる一時差異の限度額が変動し、税金費用の計上をゆがめてしまうことを回避する趣旨であり、四半期会計基準の導入に合わせて中間連結財務諸表における取り扱いも変更される予定です。
【図表2】の例では、現行の中間財務諸表の考え方では、見積課税所得80が未実現利益200より小さいことから、見積課税所得が限度となり、32(=80×40%)の税金資産しか計上できません。しかし、四半期会計基準の考え方によると、年度の課税所得320が未実現利益の金額200より大きいことから、繰延税金資産80(=200×40%)が計上されます。
【図表2】
未実現利益の消去の金額 200
四半期の課税所得 80
年度の見積課税所得 320
税率 40%
(仕訳) (これまでの中間の考え方) (借)売上原価 200 (貸)棚卸資産 200
  (借)繰延税金資産 32 (貸)法人税等調整額 32
  (四半期の考え方) (借)売上原価 200 (貸)棚卸資産 200
  (借)繰延税金資産 80 (貸)法人税等調整額 80

6. 連結納税制度を採用している場合

連結納税制度を採用している場合においても、予想年間税金費用と予想年間税引前当期純利益を合理的に見積もることができる場合には、年度の税効果適用後の実効税率を見積もって税金費用を計算することが認められています。