解説シリーズ 四半期報告制度


金融商品取引法における四半期報告制度の概要
第1回:四半期報告制度の概要および四半期財務情報の概要 (2007.10.18)

新日本監査法人 社員 公認会計士 金子裕子
四半期報告制度の概要
1. 開示対象会社

四半期財務報告の対象は、基本的に上場会社等とされています。なお、非上場の有価証券報告書提出会社は、従来どおり中間監査を受けた中間財務諸表を含む半期報告書を提出することとなりますが、半期報告書の提出に代えて四半期報告書を提出することも認められており、この場合には半期報告書の提出は不要です。

2. 開示内容

原則として、連結ベースでの    四半期財務諸表およびセグメント情報等の財務情報と    企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況等の非財務情報が開示されます。

3. 提出期限

原則として、四半期終了後45日以内に提出することが求められます。

4. 銀行等における第2四半期の例外的な取り扱い

単体かつ半期ベースで自己資本比率に係る規制を受ける特定の事業を行う会社(銀行業および銀行持株会社、保険業および保険持株会社ならびに信用金庫連合会)は、第2四半期において、連結財務諸表に加え個別財務諸表の提出が求められています。また、第2四半期における累計期間の連結財務諸表および個別財務諸表については中間監査基準に準拠した監査が予定されており、第2四半期の提出期限は四半期終了後60日以内とされています。

四半期財務情報の概要

1. 四半期会計基準の主な内容

四半期財務諸表作成の会計基準として、企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準(以下、基準)」および企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(以下、適用指針)」が、平成19年3月14日に企業会計基準委員会(以下、ASBJ)から公表されています。
当該会計基準および適用指針では、主に次の内容を取り扱っています。

○四半期財務諸表の開示範囲
○四半期財務諸表の開示対象期間
○四半期連結財務諸表の作成基準
・会計処理(四半期特有、簡便法)
・開示
○四半期財務諸表の作成基準
・会計処理(四半期特有、簡便法)
・開示

2. 四半期会計基準の特徴
四半期財務諸表の性格付けについては、実績主義と予測主義の2つの考え方があります(基準39、【図表1参照】)が、基準は、実績主義を基本としており、原則的には、年度と同じ会計処理を適用して財務諸表を作成するとしています。しかし、四半期の場合には季節変動等による影響が相当大きくなることも想定されることから、経済実態をより適切に表すために、四半期特有の会計処理を一部認めています。また、45日以内に適時に開示する必要性から、簡便的な会計処理および集約した開示を認めています。
【図表1】
実績主義 四半期会計期間を年度と並ぶ一会計期間と見た上で、原則として年度の財務諸表と同じ会計処理の原則および手続きを適用して作成する。
予測主義 四半期会計期間を年度の一構成部分と位置付けて、年度の財務諸表と部分的に異なる会計処理の原則および手続きを適用して作成する。年度の業績予測に資する情報を提供する。
収益の認識および測定は年度と同一であることが必要であり(基準43、【図表2参照】)、費用の認識および測定も、基本的に年度と同一であることが必要(基準44、45)です。従って、予測主義において認められるような営業費用の繰り延べや繰上計上は認められませんが、一部年度と異なる取り扱いが認められており、有価証券の減損や棚卸資産の簿価切り下げについて、年度で切放し法を採用する場合であっても、四半期においては洗替え法が認められます(【図表3参照】)。

【図表2】
年度の収益計上基準 四半期の収益計上基準 認められるか
工事完成基準 工事進行基準 ×
検収基準 出荷基準 ×
【図表3】
年度の費用計上基準 四半期の費用計上基準 認められるか
先入先出法 総平均法 ×
切放し法(減損等) 洗替え法
3. 四半期財務諸表の開示範囲および開示対象期間
(1)開示範囲および開示対象期間
連結財務諸表提出会社は連結ベース、連結財務諸表提出会社以外は個別ベースでの貸借対照表、損益計算書およびキャッシュ・フロー計算書が開示対象となります。また、開示対象期間は【図表4】のとおりであり、損益計算書については累計情報に加えて3カ月情報の開示が求められます(基準7)。なお、適用初年度については前事業年度分の開示は必要とされません。
【図表4】
  開示対象期間 比較対象期間
貸借対照表 当四半期末 前年度末
損益計算書 3カ月 四半期会計期間 前年度の同期間
累計 期首からの累計期間 前年度の同期間
CF計算書 累計 期首からの累計期間 前年度の同期間

(2)第4四半期の取り扱い
四半期報告書の提出が求められるのは、第3四半期会計期間までであり、第4四半期においては四半期報告書の提出は求められておらず、四半期財務諸表の作成は不要です。しかし、有価証券報告書の「経理の状況」の「その他」に、最近連結会計年度の各四半期会計期間について、次の項目の金額を記載することが求められている(企業内容等の開示に関する内閣府令第3号様式(47))ことから、第4四半期会計期間についても、これらの金額の把握が必要です。

    売上高
    税金等調整前四半期純利益金額(純損失金額)
    四半期純利益金額(純損失金額)
    1株当たり四半期純利益金額(純損失金額)

なお、第4四半期会計期間に関するこれらの記載は、財務諸表外の記載とされ、監査および四半期レビューの対象とはなりません。