解説シリーズ その他


減価償却制度の平成19年度税制改正の概要とそれに関する会計監査上の取り扱い
第2回 1. 減価償却制度の平成19年度税制改正の概要(その2)(2007.09.14)

新日本監査法人 公認会計士 原寛
【税制改正のポイント】
第1回      平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、償却可能限度額および残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できます。
     250%定率法が導入され、特定事業年度以降は残存年数による均等償却に切り換えて1円まで償却できます。
第2回      平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却できます。
     半導体用フォトレジスト製造設備など3種類の資産について、法定耐用年数が短縮されました。
     リース会計基準の変更に伴い、税務上の取り扱いも変更されました。
     固定資産税に関しては、従来どおり、取得価額の5%に相当する残存価額を維持し計算が行われます。
【各税制改正のポイント概要】

    償却済資産の5年間均等償却制度の採用

平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却できるようになりました(平成19年4月1日以後に開始する事業年度に限る点に留意)。

従来は、除却するまでは償却可能限度額以上の償却は認められず、会社によっては総額で多額の償却済資産の簿価が貸借対照表に計上されている状況でした。

この改正は、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産に関して償却可能限度額を廃止したこととの平仄(ひょうそく)をとるために行われたものです。改正により、除却前でも取得価額全額の損金算入が可能となり、以前より経済界から要望されていた償却済資産の簿価が実際の除却価値を上回るという問題点が解消されることになりました。

    技術革新のスピードが早い特定資産の償却年数短縮

技術革新のスピードが早く、実態としても使用年数の短い減価償却資産について、法定耐用年数の改正が行われました。具体的には次のとおりです。

番号 減価償却資産(機械および装置) 法定耐用年数
173 半導体用フォトレジスト製造設備 5年
(旧番号172) (改正前8年)
268-2 フラットパネルディスプレイまたは
フラットパネル用フィルム材料製造設備
5年
(旧番号268) (改正前10年)

(注)改正後の法定耐用年数は、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

    リース会計基準への対応

リース会計基準の変更に伴い、平成20年4月1日以後に契約を締結する所有権移転外ファイナンス・リース取引は売買取引と見なされることになりました。これに伴い、当該リース資産についてはリース期間定額法により減価償却が行われます。

この改正により、従来認められていた、特定制度におけるリース税額控除制度が廃止され、資産計上した所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、特定の特別償却制度の規定などが適用されないことが新たに明記されました。

この税制改正により、新しいリース会計基準の改正(所有権移転外ファイナンス・リース取引に関して、金額的重要性が乏しい場合などを除き、通常の賃貸借取引に準じて支払リース料を費用処理する例外処理を廃止した)との整合性が図られたことになり、リース会計基準の改正を後押し(実務上の負担を削減)したものと考えられます。

    改正が実現しなかった主な項目

固定資産税に関しては、減価償却制度が所得課税に係る費用配分手法であるのに対し、資産課税であることから今回の改正の対象外とされ、従来どおり、取得価額の5%に相当する残存価額を維持し、これを基に計算が行われます。