新日本有限責任監査法人 公認会計士 辰野 健
ITに係る全般統制の不備は、財務報告の重要な事項に虚偽記載が発生するリスクに直接に繋がるものではないため、直ちに重要な欠陥と評価されるものではありません。しかし、ITに係る全般統制に不備があった場合には、たとえITに係る業務処理統制が有効に機能するように整備されていたとしても、その有効な運用を継続的に維持することができない可能性があり、虚偽記載が発生するリスクが高まることとなります。従って、IT全般統制に不備がある場合には、IT全般統制の不備の程度ならびにITに係る業務処理統制に与える影響を勘案し、ITに係る業務処理統制の運用状況評価に対する十分な心証形成ができるよう、サンプル件数、テスト対象期間、ロールフォワード手続等を決定していく必要があります。
また、ITに係る全般統制は、ITに係る業務処理統制が有効に機能する環境を保証するための統制活動であり、仮に、全般統制に不備があった場合には、たとえ業務処理統制が有効に機能するように整備されていたとしても、その有効な運用を継続的に維持することができない可能性があるとされています。従って、全般統制に不備が発見された場合には、不備の程度ならびITに係る業務処理統制に与える影響を勘案し、必要に応じすみやかに改善することが求められます。
通常、ITに係る全般統制に係る不備を一覧表として集計し、不備の程度やITに係る業務処理統制に与える影響の程度等に応じて改善計画を作成します。急な改善を要しない軽微な不備であれば、中長期的な改善計画の中で改善していくこともあるでしょう。また、システムの性質上、短期の改善が困難な場合には、補完的統制を設けることで当面の間、対応することもあるかもしれません。
監査人は、会社の策定した改善計画について説明を受け、改善に向けた前向きな意思が反映された計画であるかどうかの判断をします。経営者が不備の改善に対し前向きに取り組む計画を立て、会社の状況の変化に応じて適宜計画を見直しながら、計画に従って不備の改善を実施しているのであれば、たとえ不備の一部について改善が未了であっても「不備が改善されずに放置されている」状況には該当しないものと判断が可能です。
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第4回 過去の誤謬の訂正とその他の論点 (2010.07.29)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第3回 表示方法の変更と会計上の見積もりの変更 (2010.07.29)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第2回:会計方針の変更 (2010.07.28)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第1回:会計基準における主な論点 (2010.07.22)




