新日本監査法人 社員 公認会計士 山岸聡
新日本ナレッジインスティテュート
新日本監査法人 公認会計士 若林恒行
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減損の兆候とは、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象のことです。減損の兆候がある場合には、当該資産または資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行います。企業は、通常の企業活動において実務的に入手可能なタイミングにおいて利用可能な情報に基づき、減損の兆候がある資産または資産グループを識別します。減損の兆候としては、次のような事象が例示されています。 |
| 1. | 資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続して赤字となっているか、あるいは、継続して赤字となる見込みであること |
| 2. | 資産または資産グループの使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは生ずる見込みであること |
| 3. | 資産または資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したかまたは悪化する見込みであること |
| 4. | 資産または資産グループの市場価格の下落 |
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(1)営業活動から生ずる損益
資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが、継続してマイナスとなっているか、または、継続してマイナスとなる見込みである場合に関して、「営業活動から生ずる損益」の把握は、基本的に企業が行う管理会計上の損益区分に基づいて行われます。 |
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(2)継続してマイナス
「継続して」は、当初、有価証券の減損処理や繰延税金資産の回収可能性にかんがみて3期程度を指すと考えられていましたが、減損の兆候の把握が行われるのは、対象資産すべてについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことが、実務上、過大な負担となる恐れがあることを考慮する必要があるためで、減損の事象を過度に制限すべきではないと考え、おおむね過去2期が適当とされました。 ただし、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象という減損の兆候の意義にかんがみ、当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は該当しないと考えることが適当です。 |
| 前々期 | 前期 | 当期 / 当期以降 | 減損の兆候 |
| マイナス | マイナス | - | 減損の兆候あり |
| マイナス | マイナス | 当期の見込みが明らかにプラス | 減損の兆候なし |
| - | マイナス | 当期以降の見込みが明らかにマイナス | 減損の兆候あり |
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(1)事業の廃止または再編成
資産または資産グループが使用されている事業を廃止または再編成することは、一般に、減損の兆候となる資産または資産グループが使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、または、生ずる見込みである場合に該当します。ただし、新技術の開発に伴い従来よりも明らかに回収可能価額を増加させるために行われる事業の拡大などは、必ずしも減損の兆候には該当しないとされます。 |
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(2)予定よりも著しく早期に除却や売却などにより処分する場合
当初の予定よりも著しく早期に資産または資産グループを処分することは、減損の兆候に該当します。償却資産に関しては、当初の経済的使用年数の予定よりも著しく早期に資産または資産グループを処分することと考えられます。また、土地など非償却資産である場合には、例えば土壌汚染の恐れなどにより、当初の予定より早く処分することとなった場合などが考えられます。 |
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(3)異なる用途への転用
異なる用途への転用は、通常、資産または資産グループが使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化に該当する場合があります。もっとも、ある土地を平面駐車場から最有効使用と考えられる賃貸ビルへ転用した場合のように、従来よりも明らかに回収可能価額を増加させる事象などは、減損の兆候には該当しません。 |
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(4)遊休状態になり、将来の用途が定まっていない場合
資産または資産グループが遊休状態になり、将来の用途が定まっていない場合も、その使用範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化に該当し、減損の兆候が認められます。これには、例えば、設備の操業を停止し、その後の操業開始のめどが立っていない場合などが含まれます。 |
| (1) | 材料価格の高騰や製・商品店頭価格やサービス料金、賃料水準の大幅な下落、製・商品販売量の著しい減少などが続いているような市場環境の著しい悪化 |
| (2) | 技術革新による著しい陳腐化や特許期間の終了による重要な関連技術の拡散などの、技術的環境の著しい悪化 |
| (3) | 重要な法律改正、規制緩和や規制強化、重大な法令違反の発生などの、法律的環境の著しい悪化 |
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なお、上記3項目は、例示であるため、これら以外にも、経営環境の著しい悪化が認められるケースがあります。故に、個々の企業の状況に応じて判断する必要があります。 |
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(1)少なくとも市場価格が帳簿価額から50%程度以上下落した場合
「市場価格が著しく下落したこと」については、減損の兆候の把握が、対象資産すべてについて減損損失を認識するかどうかの判定を行うことが、実務上、過大な負担となる恐れがあることを考慮したことなどから、少なくとも市場価格が帳簿価額から50%程度以上下落した場合が該当するとされました。 ただし、減損の兆候は、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象であって、その程度は必ずしも画一的に数値化できるものではありません。このため、50%程度以上下落していないときでも、30%ないし、40%の下落率であっても、例えば、処分が予定されている資産で、市場価格の下落により、減損が生じている可能性が高いと見込まれるときのように、状況に応じ個々の企業において判断することが必要な場合があることに留意します。 |
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(2)市場価格が把握できない場合
一般に、固定資産については、市場価格が観察可能である場合は多くありません。このため、例えば、いわゆる実勢価格や査定価格などの評価額や、土地の公示価格や路線価など適切に市場価格を反映していると考えられる指標が容易に入手できる場合には、減損の兆候を把握するための市場価格と見なして使用し、資産または資産グループの当該価格が著しく下落した場合には、減損の兆候があるものとして扱うことになります。 |
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第4回 過去の誤謬の訂正とその他の論点 (2010.07.29)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第3回 表示方法の変更と会計上の見積もりの変更 (2010.07.29)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第2回:会計方針の変更 (2010.07.28)
- 会計上の変更および誤謬の訂正に関する会計基準
第1回:会計基準における主な論点 (2010.07.22)




