解説シリーズ 会社法


会社法施行に伴う会計基準等
第6回:繰延資産の会計処理に関する当面の取り扱い (2008.04.16)

新日本ナレッジインスティテュート
新日本監査法人 公認会計士 井澤依子
新日本ナレッジインスティテュート
新日本監査法人 公認会計士 若林恒行
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2006年8月、企業会計基準委員会は実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」を公表しました。会社計算規則では、繰延資産として計上することができる項目およびその会計処理につき、これまで行われてきた繰延資産の会計処理を踏まえ、当面必要と考えられる実務上の取り扱いを定めることとしています。

1.主要な変更点

主な変更点は下記のとおりです。

(1) 新株発行費が株式交付費と名称変更された点
(2) 社債発行費はこれまで3年以内の期間で均等額以上の償却が求められていましたが、社債の償還までの期間に合わせて利息法(継続適用を条件として定額法)によることを原則とした点
(3) 繰延資産の範囲から社債発行差金が削除された点
2.各繰延資産の会計処理

「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」では次の5項目を繰延資産としています。なお、これまで繰延資産とされていた社債発行差金に相当する金額については、経過措置に関する事項を除き、本実務対応報告では取り扱わないこととしています。

また、支出の効果が期待されなくなった繰延資産は、その未償却残高を一時に償却しなければならないとされています。

項目 会計処理
原則 繰延資産に計上できる場合
株式交付費(新株の発行または自己株式の処分に係る費用) 支出時に費用(営業外費用)として処理する。 企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動に係る株式交付費については、繰延資産に計上することができる。
(償却期間)株式交付のときから3年以内のその効果の及ぶ期間
(償却方法)定額法により償却
社債発行費等(*1) 支出時に費用(営業外費用)として処理する。 社債発行費を繰延資産に計上することができる。
(償却期間)社債の償還までの期間
(償却方法)利息法により償却。なお、継続適用を条件として、定額法を採用することができる。
創立費 支出時に費用(営業外費用)として処理する。 創立費を繰延資産に計上することができる。
(償却期間)会社の成立のときから5年以内のその効果の及ぶ期間
(償却方法)定額法により償却
開業費(*2) 支出時に費用(営業外費用)として処理する。 開業費を繰延資産に計上することができる。
(償却期間)開業のときから5年以内のその効果の及ぶ期間
(償却方法)定額法により償却
開発費 支出時に費用(売上原価または販売費および一般管理費)として処理する。 開発費を繰延資産に計上することができる。
(償却期間)支出のときから5年以内のその効果の及ぶ期間
(償却方法)定額法その他の合理的な方法により規則的に償却
(*1) 新株予約権の発行に係る費用

新株予約権の発行に係る費用についても、資金調達などの財務活動に係るものについては、社債発行費と同様に会計処理することができるとしています。この場合には、繰延資産に計上した場合、新株予約権の発行のときから、3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却をしなければならないとしています。ただし、新株予約権が社債に付されている場合で、当該新株予約権付社債を一括法により処理するときは、当該新株予約権付社債の発行に係る費用は、社債発行費として処理することとなります。

(*2)

開業費を販売費および一般管理費として処理することもできるとしています。

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