解説シリーズ


在外子会社の会計処理の統一:第4回(2008.12.24)

新日本ナレッジインスティテュート
新日本有限責任監査法人 公認会計士 若林恒行

9.「対応報告18号」の適用時期を迎えて

(1)新しい「当面の取扱い」の採用の留意点

従前から在外子会社においては現地国基準を採用しており、在外子会社の会計処理の原則および手続きをIFRSに直接変更する方法を採用する場合

(ア) IFRS初度適用
 

在外子会社が作成する財務諸表を現地国基準からIFRSに直接変更した場合には、「対応報告18号」の適用事業年度以降において、現地国基準の財務諸表ではなく、IFRSの財務諸表のみを作成することとなります。

IFRS初度適用となるので、開始貸借対照表日における現地国基準による財務諸表に、IFRSへの遡及修正を行うほか、IFRS第1号の適用を検討することとなります。

(イ) IFRSに準拠した財務諸表
 

「対応報告18号」の適用事業年度から、在外子会社においてIFRSに準拠した財務諸表を作成します。この場合には、現地国スタッフへのIFRSの周知徹底が前提となります。連結担当部署では、各在外子会社の財務諸表が、IFRS初度適用も含めて、IFRSに準拠しているかについて確認する必要がありますが、現地国の会計事務所のレビューを受けるなどの方法を採用することにより、連結担当部署の負担を軽減することが可能になると思われます。

(ウ) 列挙された6項目について
 

在外子会社の財務諸表がIFRSに準拠して作成されていることが確認された後、「対応報告18号」で、修正を要請される6項目の有無と、該当した場合の組替修正手続が妥当であるか確認します。

在外子会社の財務諸表を現地国基準で作成してから、IFRSを適用した財務諸表に連結決算手続において修正する方法

(ア) IFRS初度適用
 

①の場合と同様に、IFRS初度適用となるので、開始貸借対照表日における現地国基準による財務諸表に、IFRSへの遡及修正を行うほか、IFRS第1号の適用を検討することとなります。遡及修正に係る仕訳は、直接財務諸表を修正するということはせず、連結修正仕訳として処理します。

(イ) IFRSに準拠した財務諸表
 

毎事業年度末の現地国基準の財務諸表に、IFRS初度適用時点からの現地国基準とIFRSの相違にかかる修正仕訳を加えることにより、IFRSに準拠した連結のための財務諸表を作成します。現地国基準からIFRSへの差異修正については、在外子会社で管理する方法と、本国の連結担当部署で管理する方法の2通りが考えられます。

(i) 在外子会社で管理する方法
 

在外子会社で管理する場合には、①の直接変更する場合と同じく、現地国スタッフへのIFRS初度適用の周知徹底が前提となります。また、この場合も、連結担当部署では、各在外子会社の財務諸表が、IFRS初度適用も含めて、IFRSに準拠しているかについて確認する必要があります。また、この連結のための財務諸表につき、現地国の会計事務所のレビューを受けるなどの方法を採用することが可能です。

(ii) 連結担当部署で管理する方法
 

現地国基準からIFRSへの差異修正を本国の連結担当部署で管理する場合には、各国在外子会社の現地国基準とIFRSとの差異について一括して管理することになります。連結グループの規模にもよると思いますが、連結担当部署に「対応報告18号」対応専門の組織を設けることを検討する必要があります。

具体的な、組替修正項目は多数にわたると思われますが、基礎となるのは、現地国基準とIFRSとの相違に対する理解であり、チェックリスト等を作成して使用するのが望ましいと思われます。

(ウ) 列挙された6項目について
 

①と同様に、在外子会社の財務諸表がIFRSに準拠して作成されていることを確認したのち、「対応報告18号」で、修正を要請される6項目への該当の有無と、該当した場合の組替修正手続が妥当であるか確認します。

(2)内部統制との関係について

平成20年4月1日開始の事業年度からは、内部統制報告制度も始まります。内部統制報告制度においては、財務諸表を直接作成するための業務プロセスである財務報告プロセスに関しても、内部統制の整備・運用状況の評価を要請しています。よって、連結財務諸表作成プロセスの一部分である在外子会社の財務諸表作成プロセスについても、在外子会社の重要性に応じて、内部統制の整備・運用状況の評価の対象となります。このため、現地国基準からIFRSへの組替修正、「対応報告18号」において、修正が要請される6項目などについても、文章化などの対応が必要となります。