キーワードで読む会計制度
キーワード解説
財務構成要素アプローチ
金融資産を構成する財務的要素(以下、財務構成要素)に対する支配がほかに移転した場合に、当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、留保される財務構成要素の存続を認識する方法です。
ヘッジの有効性
ヘッジの有効性の判定は、原則としてヘッジの開始時から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象とヘッジ手段の相場変動またはキャッシュ・フロー変動の累計を比較し、両者の変動額の比率がおおむね80%から125%の範囲内にあれば、ヘッジ対象とヘッジ手段の間に高い相関関係があり、有効であるとされます。
リスク・経済価値アプローチ
金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてがほかに移転した場合に、当該金融資産の消滅を認識する方法です。
自己株式の消却
株式の消却とは、特定の株式を消滅させることをいいます。株式会社は、自己株式を消却(自社の発行済株式総数を減少)させることができます。この場合には、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類および種類ごとの数)を定めなければなりません。また、取締役会設置会社の場合においては、取締役会の決議による必要があります(会社法第178条)。
その他資本剰余金
企業会計基準では、資本準備金以外の資本剰余金(企業会計基準第5号6)、
財務諸表等規則では、資本準備金および法律で定める準備金で資本準備金に準ずるもの以外の資本剰余金をいう(財規第63条)とされています。その他資本剰余金は、資本金および資本準備金の取り崩しによる剰余金および自己株式処分差益などで構成されます。その内容は原則として株主からの払込資本です。
その他利益剰余金
企業会計基準では、利益準備金以外の利益剰余金(企業会計基準第5号6)、
財務諸表等規則では、利益準備金および法律で定める準備金で利益準備金に準ずるもの以外の利益剰余金をいう(財規第65条)とされています。その他利益剰余金は、株主総会または取締役会の決議に基づく設定目的のある利益剰余金と繰越利益剰余金として表示されます。
付随費用
資産の取得や処分などの取引に関連して生じる費用のことです。引取費用、購入手数料、仲介手数料、買入事務費、移管費、保管費、運送費、関税などが挙げられます。
自社株式オプション
自社の株式を原資産とするコール・オプション(一定の金額の支払いにより、原資産である自社の株式を取得する権利)をいいます。新株予約権はこれに該当します。
ストック・オプション
「自社株式オプション」のうち、特に企業がその従業員などに、報酬として付与するものをいいます。
(ストック・オプションの)公正な評価額
一般に、市場において形成されている取引価格、気配値、または指標その他の相場に基づく価額。市場価格がない場合でも、当該ストック・オプションの原資産である自社の株式の市場価格に基づき、合理的に算定された価額を入手できるときには、その合理的に算定された価額は公正な評価額と認められます。
(ストック・オプションの)サービス費用
ストック・オプションを付与したことに伴い、従業員などにより提供される役務をいいます。
収益性の低下
企業が棚卸資産、設備などの資産に投資した資金は、投資以後の収益によって回収する必要がありますが、想定していた収益が獲得できなくなった状況です。収益性の低下が進み、将来収益により投下資金相当額が回収できなくなった場合には、当該資産の収益獲得能力が回収可能見込額まで低下したものとして、資産の評価額を回収可能見込額まで切り下げることが必要となります。
使用価値
資産グループの継続的使用と、使用後の処分によって生じると見積もられる将来キャッシュ・フローの現在価値です。
正味売却価額
資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額のことをいいます。
再調達原価
購買市場と売却市場とが区別される場合における購買市場の時価に、購入に付随する費用を加算した価額です。(棚卸資産の評価に関する会計基準6項)
正味売却価額(棚卸資産)
売価(購買市場と売却市場とが区別される場合における売却市場の時価)から、見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除した価額です。(棚卸資産の評価に関する会計基準5項)
正味売却価額に代えて収益性の低下の事実を適切に反映する方法による価額
期末前後での販売実績に基づく価額を用いる場合、契約により取り決められた一定の売価による場合、営業循環過程から外れた滞留または処分見込などの棚卸資産について処分価額や規則的に簿価を切り下げる場合の売価還元法低価などの価額です。
通常の販売目的で保有する棚卸資産
投機ではなく、純粋に販売すること(販売することを目的とした製造、販売活動および一般管理活動での短期的消費などを含む)を目的として保有する棚卸資産であり、トレーディング目的以外の棚卸資産のことです。
トレーディング目的で保有する棚卸資産
単に短期間の市場価格の変動により利益を得ることを目的として保有する棚卸資産です。いわゆる「投機目的」保有の棚卸資産です。
米国証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)
1929年の世界大恐慌の引き金となったニューヨーク証券取引市場での株価の大暴落を受けて、1933年に証券法(Truth-in-Securities Act)、1934年には証券取引所法(Securities Exchange Act)が制定されましたが、この法律に基づいて設置された機関が、証券取引委員会(SEC)です。SECは、証券市場の監視をその役割としています。わが国においては、証券取引等監視委員会が近い役割を果たしています。
国際財務報告基準(いわゆる「国際会計基準」、International Financial Reporting Standards)
国際標準として世界的に承認され遵守されることを目的として、国際会計基準審議会(International Accounting Standards Committee、IASB)によって設定される会計基準を総称して国際財務報告基準と呼んでいます。一般的に、国際会計基準(IAS:International Accounting Standards)などと呼ばれています。
国際的な会計基準の統合化の動き
資本市場の国際化のより一層の進展に伴って、国際的に財務諸表の比較可能性を高める必要性が生じてきていることや、世界各国で生じている大型粉飾事件などを契機として、より高品質な会計基準への国際的統一の必要性が高まっています。このような状況の中、各国の会計基準設定主体により会計基準の国際的統一化が進められています。現在は、その過渡期です。
過年度遡及修正
企業が会計方針を変更したときや財務諸表の表示方法を変更したときに、過年度財務諸表を新たに採用した方法で遡及(そきゅう)的に修正することです。当期と過年度の財務諸表との比較可能性を確保することができます。
公正価値
一般的に「取引の知識のある自発的な当事者間において、強制や清算による売却等例外的な条件を除く通常な正規の取引条件下で資産が交換され、負債が決済される金額」とされています。米国会計基準、国際会計基準においてもおおむね同様の内容となっています。
(会計基準の)コンバージェンス
会計基準の国際的収れん、国際的統合化です。キーワード解説「国際的な会計基準の統合化の動き」を参照してください。
資産除去債務
固定資産を除却する際には、解体費用、撤去費用、原状回復費用などの費用がかかりますが、これらに関連する債務を資産除去債務といいます。わが国における資産除去債務の範囲や会計処理は、現在企業会計基準委員会(ASBJ)で検討されています。
国際会計基準委員会財団(IASCF:International Accounting Standards Committee Foundation)
国際会計基準審議会(IASB)の上位組織としての財団です。この財団の下に「評議員会(Trustees)」、「IASB」、「基準諮問会議(SAC:Standards Advisory Council)」および「国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC:International Financial Reporting Interpretations Committee)」という四つの主要組織を持っています。評議員会がIASBの人事と予算権を持ち、監視する役割を持っています。
東京合意
国際会計基準を作成している国際会計基準審議会(IASB)とわが国の会計基準を作成している企業会計基準委員会(ASBJ)との間でされた合意を指します。
その主な内容は次のとおりです。
2008年までの短期コンバージェンス・プロジェクトの完成
その他のコンバージェンス項目について2011年6月までの完成
2011年目標に対する一部の例外項目の設定
スタッフ・レベルでの定期協議の新設
詳しくは、ASBJのホームページをご参照ください。
http://www.asb.or.jp/html/international_issue/convergence/
その主な内容は次のとおりです。
2008年までの短期コンバージェンス・プロジェクトの完成
その他のコンバージェンス項目について2011年6月までの完成
2011年目標に対する一部の例外項目の設定
スタッフ・レベルでの定期協議の新設詳しくは、ASBJのホームページをご参照ください。
http://www.asb.or.jp/html/international_issue/convergence/
ピュアIFRS
ローカライズされていない、純粋な国際財務報告基準(IFRS)という意味で用いられます。現状では、会計基準の一部を採用しないなどのローカライズされたIFRSを採用している国も多くなっています。EUのIFRSもローカライズされたIFRSということができます。
ELC(Entity Level Controls、エンティティ・レベル・コントロールあるいはイーエルシー)あるいはCLC(Company Level Controls、カンパニー・レベル・コントロールあるいはシーエルシー)
全社的な内部統制。「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」(企業会計審議会)において「連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制」と定義されています。広く企業全般に存在し、業務プロセスに係る内部統制に大きな影響を与えるものです。社風、組織体制や経営者の倫理観などがこれに含まれます。
FSCP(Financial Statements Close Processes、エフエスシーピー)
決算・財務報告プロセス。会計記録に反映された取引を財務諸表および関連する開示に変換するプロセス。会計記録として記録された取引を要約、レビュー、編集、あるいは連結し、規制上または経営管理上のさまざまな財務報告書に変換するプロセスを呼びます。Financial Closing and Reporting Process(FCRP、FCARP)などと呼ばれることもあります。
PLC(Process Level Controls、プロセス・レベル・コントロールあるいはピーエルシー)
業務プロセスに係る内部統制。「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」(企業会計審議会)において「業務プロセスに組み込まれ一体となって遂行される内部統制」と定義されています。販売業務、購買業務などの業務に組み込まれて不正や誤謬(ごびゅう)を予防・発見する仕組みを指します。
企業結合
「企業結合」とは,連結財務諸表における親子会社関係にみる支配・被支配関係または,共通の支配下の関係にない「独立した会社」同士が,一体となって1つの経済企業体となることをいいます。「企業結合」には,ある会社が他の会社の純資産や経営に対する支配を獲得する「取得」によってもたらされる場合と複数の会社の株主が双方の会社の純資産や経営に対する支配を結合し,結合後の会社のリスクと便益を共有する「持分の結合」によって実現する場合とがあります。
【企業結合:会計基準等による定義】
ある企業(会社および会社に準ずる事業体をいう。以下同じ)またはある企業を構成する事業と、他の企業または他の企業を構成する事業とが一つの報告単位に統合されること。(企業結合会計基準二1.)
【企業結合:会計基準等による定義】
ある企業(会社および会社に準ずる事業体をいう。以下同じ)またはある企業を構成する事業と、他の企業または他の企業を構成する事業とが一つの報告単位に統合されること。(企業結合会計基準二1.)
共通支配下の取引
親会社と子会社の合併や、親会社の支配下にある子会社同士の合併など、結合後企業のすべてが企業結合の前後で同一の企業により最終的に支配され、その支配が一時的ではない場合の企業結合のことをいいます。
共同支配
複数の独立した企業が契約などに基づき、ある企業を共同で支配することをいいます。
事業分離
ある企業を構成する事業を他の企業(新設される企業を含む)に移転すること。なお、複数の取引が一つの事業分離を構成している場合には、それらを一体として取り扱います。
取得
企業結合において,結合当事企業の一方が他方の企業の支配権を取得することを意味しています。日本においては「対等な立場での合併」や「精神としては対等合併」というような企業結合が多くありますが,会計上の判断としては原則として「取得」による企業結合が行われたものとして判断します。
【取得:会計基準等による定義】
ある企業が他の企業(被取得企業)または企業を構成する事業に対する支配を獲得して一つの報告単位となること。(企業結合会計基準二4.)
【取得:会計基準等による定義】
ある企業が他の企業(被取得企業)または企業を構成する事業に対する支配を獲得して一つの報告単位となること。(企業結合会計基準二4.)
パーチェス法
企業結合が「取得」である場合に採用される会計処理方法です。取得企業は被取得企業を取得した時点の時価で購入したものとして会計処理します。
【パーチェス法:会計基準等による定義】
持分プーリング法に対して、被結合企業から受け入れる資産および負債の取得原価を、対価として交付する現金および株式などの時価、すなわち公正価値とする方法。(企業結合会計等適用指針29)
【パーチェス法:会計基準等による定義】
持分プーリング法に対して、被結合企業から受け入れる資産および負債の取得原価を、対価として交付する現金および株式などの時価、すなわち公正価値とする方法。(企業結合会計等適用指針29)
プーリング法、持分プーリング法
企業結合が「持分の結合」である場合に採用される会計処理です。各結合当事企業がそのまま存続していることが前提となるので,各結合当事企業の帳簿価額をそのまま引き継いで会計処理します。
【持分プーリング法:会計基準等による定義】
すべての結合当事企業の資産,負債および資本を,それぞれ適切な帳簿価額で引継ぐ方法。(企業結合会計等適用指針128)
【持分プーリング法:会計基準等による定義】
すべての結合当事企業の資産,負債および資本を,それぞれ適切な帳簿価額で引継ぐ方法。(企業結合会計等適用指針128)
持分の結合
「取得」に該当しない企業結合です。結合当事企業それぞれの株主の支配権がほぼ対等な状況での企業結合を意味しています。国際会計基準においてはごく限られた例外として規定されています。
【持分の結合:会計基準等による定義】
いずれの企業(または事業)の株主(または持分保有者)も他の企業(または事業)を支配したとは認められず、結合後企業のリスクや便益を引き続き相互に共有することを達成するため、それぞれの事業のすべて、または事実上のすべてを統合して一つの報告単位となること。(企業結合会計基準二5.)
【持分の結合:会計基準等による定義】
いずれの企業(または事業)の株主(または持分保有者)も他の企業(または事業)を支配したとは認められず、結合後企業のリスクや便益を引き続き相互に共有することを達成するため、それぞれの事業のすべて、または事実上のすべてを統合して一つの報告単位となること。(企業結合会計基準二5.)
- IFRS導入の世界での潮流と日本の対応―なぜIFRSが選ばれるのか―
第6回:収益認識に係る公開草案の公表 (2010.07.08) - 会計基準等の適用時期(平成22年6月30日現在) (2010.07.02)
- IFRS導入の世界での潮流と日本の対応―なぜIFRSが選ばれるのか―
第5回:IFRSをめぐる最近の動向 (2010.03.04) - IFRS導入の世界での潮流と日本の対応―なぜIFRSが選ばれるのか―
第4回:IFRSの適用に求められるスキルセット (2009.12.04)







