海外ブログ[米国]米国事情無駄話


2008.04.18
第5回 米国のお天気事情(その2)

第4回に引き続き、お天気の話題です。今回は、雷、ひょう(雹)、氷雨についてお話しします。

雷(Thunder)

古くなりましたが「ポルターガイスト(Poltergeist)1982年」という映画をご存じですか?幼い少女がテレビを通していたずら好きの幽霊とお話を始めたために、おうちが幽霊屋敷になってしまう映画です。米国のホラー映画に必ずといって出てくる小道具(大道具かな)が雷です。

暗い部屋で一人でいると突然開き窓がバタンと開き(なぜか窓が観音開きなのです)、稲妻がピカーと光って死人の顔や怪物なんかが目の前に突然出没し、主人公の女優が「ギャ―――」と叫ぶシーンです。この映画もそうですが、日本で米国のこの手の映画を見たときにその稲妻の光で部屋中が真っ白になるのを見て、「なんと大げさな、ホラー映画と言ったってそんなに水銀灯の光のように真っ白な効果にしなくてもいいのに、ほんとアメリカの映画って大げさなんだから」と思ったものでした。

ところが、初めて中西部に出張に行って、友人の家に泊めてもらったときに雷雨にあったのですが、その雷の明るさはまさしく映画で見たのと同じ「超ど級の真っ白シロスケ」で米国または北米大陸の大地の発電力に驚いたものです。お目目が(・・) 状態です。しかも雲の間を縫うように空一杯に次々にあちらこちらで雷が光るさまは、まさしく神の業としか思えず、思わず「アッラー、アーメン」とひれ伏したくなるような荘厳な趣です。

映画「十戒」でも有名ですが、多分、モーゼがユダヤの神から「十戒」を授かったときに、石版に十戒を刻んだ雷はこんな雷だったんだろうなあと思ったものです。残念ながらわがお釈迦(しゃか)様もここでは登場する出番はありません。またキリストが十字架で処せられたときもすごい雷雨がありましたね。もちろん私が見たわけではなく、これはチャールトン・ヘストン主演の映画「ベンハー」のラストシーンです。

米国の中西部に出張される機会がありましたら、真夏の7月か8月をお勧めします。壮大な自然の絵巻をただで堪能できるチャンスです。でもそのために飛行機がキャンセルされる可能性が大なので過密なスケジュールの方にはお勧めできません。また夏の雷ショーなんて見たくないという方には、中西部では朝のフライトを予約されるのをお勧めします。

ヒョウ(雹)

昔、ニューヨークに来て間もないときに、事務所のアウティング(Outing)でゴルフをする機会がありました。アウティングとは、メンバー制のゴルフ場なんかを1日借り切って、事務所のパートナーからアシスタントまで全員が参加してゴルフやテニスをしたりプールで泳いだり、お酒や食事をしながら朝から晩までゆっくり過ごす、1日社員遠足のような催しです(最近はコストの関係からかなり縮小気味となっており寂しい気分です)。

ちなみに、こちらではゴルフコースだけでなくテニスコートやスイミングプール、ダンスホールなどの施設があるクラブをCountry Clubといい、ゴルフ場だけのクラブをGolf Clubと呼んでいます。

アウティングでのアクティビティでは、ゴルフやテニスなどいろいろあるのですが、私はゴルフが好きなので「ゴルフをやりたい」と言ったところ、アメリカ人の同僚から「Toshi(私のニックネームです・・そのままですね)、ちょっと、スイングしてみろ」と言われ、手クラブでスイングしてみたところ「OK」が出て、一緒にプレーさせてもらえることになりました。なかなかアメリカ人ってシビアだなと思いましたが、たまたまかなり真剣にゴルフをするグループだったようです。

ゴルフコースに着いてみるとロング・アイランド(マンハッタンの東にある細長い島です)にある由緒あるコースで、なんとキャディーがゴルフバッグを二人分かついでのプレーです。われわれの組にはフットボール選手のような体格の黒人がキャディーとして一緒に回ることになりました。白いオーバーオールを着て、なにやらオーガスタにきたような気分です。たくさんの観客(酒を飲みながらゴルフプレーヤーにプレッシャーをかけるためにはやし立てている事務所の同僚たちです)を前に「日本人として恥ずかしいプレーはできない」と1番ティーで武者震いをした記憶があります。

1年ぶりにプレーした割には無難に9ホール目を終わって、10ホール目のティーショットが終わったときに、遠くに湧き立つような入道雲が見え、次に2打目を打とうとしたときに、その入道雲から小さな稲妻が落ちるのが見えたのです。ゴロゴロの音の遅れからかなり遠いとは思ながらも、みんなにやめた方がいいのではと進言したのですが、「トシ、ダイジョウビー、ソンナノゼンゼンモンダイネェ~♪」って取りあってくれません。

「アメリカってすごいやん、稲妻光っててもゴルフやるんやねえ、」と思いながら2打目を打ち終わって歩き出したとたんです。10番ホールの真横の林で「バシーーー」という大音響とともに閃光(せんこう)が走って真っ白になり「雷が落ちた!」と思ったら、なんと空からゴルフボールの大きさのヒョウが、バケツをひっくり返したかのように降ってきたのです。「ダイジョウビー」なんて言っていた3人のアメリカ人たちはすでにクラブハウスに向かって一目散に走っています。

私も走ろうとしたら黒人のキャディーが「ヘ~イ」と私を呼びとめ、「傘、差して行け」というしぐさで親切にも傘をくれようとするではありませんか。「こんなあちこちで雷がゴロゴロピカピカしているときに傘をさすのは危ないんだよ」と言ってやりたくなりましたがとっさに英語も出てこず、かといって、このまま無視して走り去るのも悪いなあと思ったのは私も日本人なんでしょうね、仕方なく戻って傘をつまみとるや、クラブハウスに脱兎のごとく走りかえりました。

後ろを振り返るとそのキャディーがゴルフバックを二つかつぎ、降ってくるヒョウがピンポン球のように跳ね、雷がドーン、ゴロゴロとなる中を恐れもせず悠々と歩いて帰ってくるではありませんか。ヒョウで真っ白になったゴルフコースの中を白いツナギを着た黒人キャディーがゆったりと歩いてくる光景はなにやら幻想的で美しくもありました。

そんなに近くで雷が落ちた経験は初めてでしたが、それ以来、ゴルフをしているときに少しでも雷がゴロゴロとなると、それが遠くであったとしても、もう生きた心地もせずクラブを放り出して早く避難所に逃れたいという超弱虫ゴルファーになってしまいました。

ちなみに南アフリカのゴルフプレーヤーのレティーフ・グーセン(Retief Goosen)は、昔、ゴルフをプレー中に落雷を受け重傷を負ったのですが、見事カムバックしてプロツアーで優秀な成績を収めています。あるとき、プロゴルフの試合の中継を見ていて、ゴロゴロとなっているにもかかわらず平然とプレーをする彼の姿を見て深い感銘を受けたものです。

フリージング・レイン(凍結雨)

♪飲ませてください、もう少し、今夜は帰らない帰りたくない…、…外は冬の雨まだや~まぬ、この胸を濡らす~よに♪、「氷雨」です。いい歌ですね。

「氷雨」は、氷の粒の雨か、冬に降る冷たい雨という意味のようですが、この歌だと後者の意味ですね。米国または北米大陸のフリージング・レイン(Freezing Rain)も、気温が氷点より少しだけ高いときに雪にならずに降る雨で、地上に到達した雨が次々に凍りつき、道路が透き通った氷で覆われスケートリンク化するドライバーにとっては恐怖の氷雨です。

このように凍りついた道でブレーキをかけると、ブレーキやハンドルがまったくきかなくなり、車が滑っていくのをただ受け入れるしかありません。映画のバックグランドミュージックだとヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」を使いたくなるようなシーンですね。♪ラーラーラーラン、ラン、ラン、ラン、ラン♪(ラーメン屋の呼び込みではありません、軽やかなメロディーを想定ください)

北部のニューヨークやボストンから南部のアトランタやダラスまで冬の名物シーンで、これも必ず新聞やテレビのニュースに登場しますが、道路からトラックや乗用車が右や左に向きながらスローモーションのようになすすべなく滑っていくさまは圧巻です。米国に出張された場合、冬の雨の日の運転にはくれぐれも気をつけましょう。

2008.04.18この記事のURL
米国発~海外ブログ
著者
著者イメージ
田川利一
(たがわ としかず)

アーンスト・アンド・ヤング
サンノゼ事務所
米国西海岸北部地区JBSリーダー
税務パートナー

1984年から2004年までニューヨーク事務所、その間、2000年から2002年まで新日本アーンストアンドヤングに出向
2004年にサンフランシスコ・サンノゼ地区に転勤

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