来料加工とタックスヘイブン対策税制
さて、この外国子会社合算税制、報道される税務更正、裁決や判決を見る限りは、香港子会社が介在する華南型来料加工との相性があまりよろしくないという性向(トレンド)が見てとれます。香港子会社が中国本土の来料加工廠との間で実施する、いわゆる華南型来料加工貿易取引とタックスヘイブン対策税制の適用については、更正処分を不服とした異議申し立てや審査請求、訴訟がなされていることはご存じのとおりです。
典型的なケースとしては、中国本土の来料加工廠と来料加工貿易取引を実施する香港子会社(特定外国子会社等に該当)が、タックスヘイブン対策税制の適用除外要件を満たすものと判断し、当該香港子会社における適用対象留保金額に持分等の一定割合の金額を、日本親会社等における所得計算において当該特定外国子会社等の留保金額を益金参入していない事例があります。
なお、日本親会社等が、特定外国子会社等に該当する香港子会社がタックスヘイブン対策税制の適用除外条件を満たさないと判断して、税法に定められた特定外国子会社等の留保金額の益金算入の手続きに従って計算を実施している場合には、(タックスヘイブン対策税制の適用により納税額が増えるため、来料加工のコスト・メリットが減衰していまいますが・・・)解釈の上では日本の国税当局との見解の相違は生じていないことになります。
(以下に述べる内容は、すべてのいわゆる来料加工といわれる委託加工貿易取引について、日本のタックスヘイブン対策税制と単純に結び付けることを意図するものではないことを前もってお断りしておきます。)
さて、なぜ中国本土の来料加工廠とのいわゆる華南型来料加工貿易が、タックスヘイブン対策税制の適用を受けてしまう事例が生じるのかについては、海外における特殊な形態の商取引であることもあり、なかなか理解しがたいものがあると思われます。
タックスヘイブン対策税制の趣旨そのものは、日本に比べて法人税率の低い国や地域の子会社等で経済活動を実施し、当該子会社に利益をためこんで日本の租税負担を回避する行為に対して、税負担の実質的な公平を図ることを目的にしたものです。この税法の趣旨そのものに異論は少ないと考えられます。
ご存じの方も多いと思われますが、華南型来料加工貿易に対してタックスヘイブン対策税制が適用されるか否かは、タックスヘイブン対策税制の適用除外要件といわれるものの解釈や判断が鍵を握っているのです。
(次回に続く)


(あきもと ひろき)
新日本有限責任監査法人 公認会計士
2003年~2008年上海駐在。
のだめ系公認会計士。吹奏楽を愛する武闘派エンターテイナー。
帰国後は財務諸表監査や内部統制監査に従事。
中国案件を担当し、中国の最新の実務経験と知識を役立てている。
鉄道と長距離バスを使いこなし、かばん一つでどこにでも飛んでいく送迎無用の中国専門要員。
中国語は専門翻訳および通訳をこなす上級レベル。

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