海外ブログ[中国]会計士パンダの中国税務会計教室


2010.02.09
空飛ぶパンダの現場紀行(その70)

来料加工の実態解釈

さらなる製造委託元におけるコスト優位性や使い勝手の良さを追求した、いわゆる華南地域型の来料加工には、その生い立ちと備え持つ柔軟性から、さまざまなバリエーションが存在しているといわれています。その、いわゆる華南地域型の来料加工といわれるスキームの中には、日本におけるタックスヘイブン税制に抵触した事例の報道がたびたびなされているところで、来料加工ビジネスモデルからの転換とあいまって、関心が高くなってきている項目であるといえます。

一般的に、来料加工の製造委託先の従業員は、製造委託元から無償支給された原材料や部品を用いて、製造委託元の指示に基づいて加工作業を実施することは前に触れました。製造委託先が製造工場、労働者などのインフラを確保・整備・提供し、製造委託元が原材料や製造設備、技術などを提供し、製造指導監督や品質管理監督をはじめとする管理活動を実施することが一般的であるといわれています。

製造設備やノウハウを提供し、管理人員を派遣するために、実質的に製造委託元が製造受託先を運営していると指摘されることがあります。形式的には加工貿易、原材料や部品の無償支給による製造委託でありながら、実質的には製造委託元が中国に工場を設立して、運営していることと同義であるという見方がなされるわけです。

厄介であるのは、この実質的な観点を推し進めていくと、工場の製造機能としての実体性および製造受託元と製造委託先の一体性を重視する立場につながっていくことで、日本におけるタックスヘイブン税制の適用が問題となる場合があります。現在、その解釈をめぐって国税当局側と納税者側で見解の相違が生じているケースがあり、今後の動向が非常に注目されているところです。

(景気の悪化で税収そのものが落ち込んでいることと、企業の海外移転が進んだことにより、国内に落ちる税金そのものが減少していることがその背景にあるともいわれています。日本における企業の税負担率は諸外国に比して高いことが常々指摘されているところであり、税金コストが相対的に安い地域に企業の機能を集約させていく流れは今後も続いていくことと思われます。

なお、今後の国家財政の状況や財政政策がどのようなものになるのかは想像がつきませんが、歳出が膨らむ方向の政策が打ち出されるのであれば、その財源をどのように確保するのかが課題となってきます。法人税の税率を維持するのであれば、これらの問題の解決は簡単ではないように個人的には考えます。)

(次回に続く)

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著者
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秋元宏樹
(あきもと ひろき)

新日本有限責任監査法人 公認会計士

2003年~2008年上海駐在。

のだめ系公認会計士。吹奏楽を愛する武闘派エンターテイナー。

帰国後は財務諸表監査や内部統制監査に従事。

中国案件を担当し、中国の最新の実務経験と知識を役立てている。

鉄道と長距離バスを使いこなし、かばん一つでどこにでも飛んでいく送迎無用の中国専門要員。

中国語は専門翻訳および通訳をこなす上級レベル。

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