国際会計基準審議会では、現在、財務諸表の表示区分の見直しの作業を進めています。
主な柱は、企業活動を事業活動と財務活動に区分する点にあります。この区分を、財政状態変動計算書、包括利益計算書およびキャッシュ・フロー計算書にまたがって行うという「一体性」が強調されています。
しかし、このような考え方は、特段新しいものではありません。
財務分析や企業評価の観点からは、事業活動と財務活動に区分することが半ば常識になっています。
例えば、企業評価では、企業の財務構造に依存しない、事業の価値を推定します。このときには、事業活動キャッシュ・フローやその代替値としてのNOPAT(税引後事業純利益)のようなものが推定の基礎になります。
そうすると、このような事業の価値を推定させるためには、事業活動に関する貸借対照表と損益計算書が必要となるわけで、上述の一体性が担保された財務諸表によって必要な情報が入手できる可能性があります。
事業の価値が推定できれば、あとは負債の価値を控除すれば株主持分の価値が推定できます。このときの負債の価値は、時価になります。もちろん、財務活動の区分において負債に関する情報が提供されるわけですが、時価の開示も十分に意味を持ち得ます。いわゆる政策投資株式のようなものもいわば負債返済の原資として財務活動の区分に記載されるのであれば、時価の開示だけで足りる可能性があります。言い換えれば、負債の時価評価損益も政策投資株式の時価評価損益も事業活動の損益とは切り離されていればよく、包括利益計算書の財務活動の区分において、(リサイクルしない)その他包括利益の取り扱いで十分です。
この財務諸表の区分表示のプロジェクトは、現行の実務を大きく変える可能性があり、警戒感をもってとらえられることが多いようです。実際、税金の問題一つを取り上げてみても、客観的な区分表示が難しいような気もします。反面、このプロジェクトは、これをうまく進めることができれば、会計の世界に大きなブレークスルーをもたらす可能性があるのではないかと考えています。








